あなたは解像度についてどれだけ知ってる?Part1

解像度350dpi=スクリーン線数×2を徹底的に考える

こんにちは。デザイナーの波平です。名前のわりに毛はある方です。
さて、印刷物を依頼した時に「写真素材を支給してください!」と制作会社から言われて、よくわからないけどWEBサイトで使ってる写真をそのまま送ったら「解像度が全然足りないので、もっと大きいサイズの写真データありませんか?」と言われた事ありませんか?
そんな時「どのくらいの大きさで用意すればいいですか?」と聞き返したりしますよね。
それに対してデザイナーが「解像度は350dpi必要です!」と答えている姿も何度か目にした事があります。
その答え方、印刷を知らない人にとっては意味不明だよなぁ…とつくづく感じます。
しかし印刷業界に身を置く人間はほとんどが漠然と「解像度?あぁ、350dpiだよね?」と答えたりするんです。
そもそも本当に解像度350dpiってどんな事か理解できていますか?
今回は、そんなとてもわかりづら〜い解像度について考えていきたいと思います。

解像度って何?


解像度(かいぞうど)とは、「ビットマップ画像における画素の密度を示す数値」のこと。写真画像を画面上で拡大して見てみると最終的には小さな点(ドット)の集まりであることがわかります。このドットがどのくらいの密度で集まっているかによって画像データのサイズが決まるのです。
解像度をあらわす単位はdpiといいます。dpiは「dot per inch」のこと。1インチにつきいくつの点が集積された画像なのか。350dpiなら1インチ(25.4mm)の長さの線上に350個のドットが乗っているという意味です。72dpiであれば72個しかドットを載せられない。ドット自体が大きくなるとグラデーションで表現出来る色数も限られてきます。解像度の値が大きい方がより微細な表現が可能であるということです。

なぜ「350dpi」という数値が出てきたのか!?

印刷物をルーペなどで拡大して見てみると「網点」と呼ばれる小さなドットが見えます。オフセット印刷ではこの網目の細かさで印刷の精細さを表していて、1インチにつきこの網目が何本入るかということでスクリーン線数(line per inch=lpi)と呼んでいます。その印刷物の精緻さを再現できる紙の種類によって線数は決まっています。

主な印刷物

新聞(更紙など):60〜80線
雑誌などの1色〜2色印刷(上質紙など):100〜150線
カタログなどのフルカラーオフセット印刷(コート紙やアート紙など):150線〜200線

そして、この線数を使った下記の公式によって必要な解像度を出せるようになっています。

解像度=スクリーン線数×2

一般的なオフセットカラー印刷なら175×2=350dpiという事が印刷業会では定説となっています。
しかし!ここでふと疑問が沸いてきます。1インチに入る点の数は線数と解像度でどうしてイコールにならないの?網点ひとつにつき1ピクセル入ったら綺麗に表示されそうじゃない?
これからその謎を解いていきたいと思います!

網点による階調の表現

通常、オフセットフルカラー印刷の場合、印刷データをシアン版・マゼンタ版・イエロー版・ブラック版の4つの色に分解して下の色が透けて見えるような特殊なインクでそれぞれの版を版画のように刷り重ねていきます。
自分で絵の具をつかって絵を描いた事を思い出してみると、薄いピンク色を作りたいなという時は白色の絵の具と赤色の絵の具を混ぜますよね?
印刷ではこの「白色のインク」という概念がありません。白色は紙の色そのままで表現して、重ねる色を薄くしていきます。重ねる色を薄く??そう、ここで「網点」が登場するのです!
薄いピンクであれば、マゼンタ色のインクを点で表現します。この点は肉眼では判別できない程小さいので、紙の白い色と混ざって薄いピンク色に見えます。

下の図は、Illustrator上でマゼンタ40%を擬似的に網点で表現してみたものです。

Aのような薄いピンクを印刷で表現する時、Bのような細かい網点で表現します。でも実際はCのようなマゼンタ100%の点を白い紙中の面積の40%の割合で置くことで薄いピンクを表現することが出来ます。
このように印刷では、シアン・マゼンタ・イエロー・ブラックの4色の濃淡と色同士の掛け合わせで複雑なカラーを表現しているのです。

スクリーン角度

この網点を大小様々に重ねて色や階調を作り出している訳ですが、4版とも網点の角度が同じだと周期的に色の重なりが同じ場所に集中してしまい、意図とは違う模様を作り出してしまう事があります。これが「モアレ(干渉縞)」というものです。

このモアレを防ぐために右側の図のように各色版の網点の角度(スクリーン角度)を少しづつ変えています。
上の状態を網目で表わしてみます。

45度の版を表現する為のdotが網と網との間で分割してしまう為、編目とdotを1対1にする為には、計算上は√2倍(約1.4倍)必要となるらしい。(難しすぎて理解出来ていない笑)
更に4版それぞれを角度をつけて回転させる事で、網目の重なりは更にバラバラになり、より細かいドットで表現しないと対応出来なくなってしまいます。
但し、CMK版のようなハッキリとした色とY版のようにぼんやりした色とでは人間の肉眼で視認出来る精緻さというのは非常に曖昧なので、「細かいことはさておいてざっくりと線数の2倍にしておけば大丈夫だね(汗)」という感じの印刷業界のセオリーが存在しているようです。
ごちゃごちゃ言いましたが、結論として、

解像度=スクリーン線数×2 と覚えておこう!!という事です。

次回は実際の画像をどんな風に350dpiとして扱うのか…Photoshopを使って説明していきます! →続きを読む

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